1. 予期せぬ電話、そして一本の「挑戦」
その日は、いつも通りの慌ただしい午後でした。 私たち「保険ネットワーク山形」は、日々、山形に暮らす皆さんの安心を守るため、事故への備えやライフプランのご相談に向き合っています。そんな私たちのオフィスに、一本の電話が入りました。
相手は、地元・山形市にある惺山(せいざん)高等学校の2年生。
「総合的な探究の時間という授業で、大江町を舞台にしたマラソン大会を企画しています。そのプレゼンの内容について、営業のプロとしての視点からアドバイスをいただけないでしょうか?」
最初は耳を疑いました。学校の先生を通した依頼ではなく、生徒本人が自分で調べ、自分で電話をかけ、自らアポイントメントを取ろうとしている。 営業という仕事において、「最初の一歩」を自力で踏み出すことがどれほど勇気のいることか、私たちは身をもって知っています。しかし、相手はまだ10代の学生です。
「どこからうちを見つけたのだろう?」 「なぜ、保険代理店に営業スキルの相談を?」
驚きと同時に、その真っ直ぐな行動力に、私たちの中の「営業魂」が静かに揺さぶられたのを覚えています。
2. 先生の言葉に感じた「戸惑い」と「違和感」
快く引き受けたものの、やはりどこかで「本当に高校生が一人で進めて大丈夫なのだろうか」という老婆心が働きました。今の時代、コンプライアンスや安全面も考慮しなければなりません。そこで、確認のために学校へ電話を入れました。
担当の先生とお話しした際、私はこう尋ねました。 「生徒さんから直接アポをいただいたのですが、学校側としてはどのようなサポートが必要でしょうか。何かルールや制限はありますか?」
すると、先生から返ってきたのは、予想だにしない言葉でした。
「こどもの好きなようにさせてください」
正直に告白します。その瞬間、私は少し動揺しました。 「好きなように? 放任ではないのか? もし途中で挫折したり、失礼なことがあったりしたらどうするのか。大人の私たちが道筋を示してあげるのが教育ではないのか……。」
これまでの自分の常識に照らし合わせると、その「放任主義」とも取れる指導方針には、一抹の不安と違和感を覚えずにはいられませんでした。しかし、その答えは、数日後に生徒さんと対面した際に、鮮やかな形となって現れることになります。
3. 「大江町マラソン大会」— 熱を帯びたプレゼンテーション
約束の日。オフィスに現れた生徒さんの表情は真剣そのものでした。 彼らが持ってきたのは、自分たちが住むこの山形を、そして「大江町」という素晴らしい地域をどう盛り上げるかという、熱意の塊のような企画書でした。
「大江町の景観を活かしたい」 「地元の特産品をエイドステーションで出したい」 「SNSを活用して、県外からもランナーを呼び込みたい」
彼らの語る言葉には、大人たちがいつの間にか忘れてしまった「純粋な熱量」が宿っていました。そして何より驚いたのは、彼らの「準備」です。
私たちが「営業のプロ」であることを意識し、自分たちの企画がいかに社会に貢献し、実現可能性があるか。厳しい質問が飛んでくることを覚悟した上での、必死のプレゼンテーション。
私はその姿を見て、確信しました。 先生が仰った「好きなようにさせてください」という言葉は、決して放任ではなく、「生徒の主体性と可能性を100%信じ切る」という、最も難しく、かつ尊い教育の形だったのだと。
レールを敷いてあげれば、生徒は迷わず歩けるでしょう。しかし、自らレールを引こうとする経験は、自分自身の足で立ち、自分自身の言葉で語る「自立」を生みます。目の前の生徒さんは、まさにその過程にいたのです。
4. 営業職として伝えた、唯一の「リアル」
私は営業職としての経験を総動員してアドバイスを贈りました。
「君たちの熱意は100点だ。でも、実際に大きなプロジェクトを動かすには、もう一つの視点が必要になる。」
私が伝えたのは、私たち保険のプロが最も大切にしている**「リスクへの想像力」**です。 「もし大会当日に雨が降ったら?」「ランナーが怪我をしたら?」「沿道の住民に迷惑がかかったら?」
夢を語るだけでなく、起こりうる最悪の事態を想定し、それに対する「安心の備え」を準備しておく。それが、協力者やスポンサーの信頼を得るための「営業の本質」であること。 「想い」に「責任」を乗せることで、企画は「夢」から「事業」へと変わるのだと。
生徒さんは、私の言葉を一つひとつ噛みしめるようにメモを取っていました。その時の鋭い眼差しは、もはや「生徒」ではなく、一つのプロジェクトを背負う「リーダー」のそれでした。
5. 忘れていた「チャレンジ精神」を鏡に映して
今回の経験を通じて、教えられたのは私たちの方でした。
営業という仕事を長く続けていると、効率を求めたり、失敗を避けるための「慣れ」が出てくることがあります。 「どうせ無理だろう」「前例がないから」 そんな言葉で、自分たちの行動を制限してしまってはいなかったか。
どこから調べたのかも分からないまま、自らアポを取り、扉を叩いた生徒さんの姿。 それは、営業の原点である**「チャレンジ精神」**そのものでした。
知らない世界に飛び込む勇気。 断られることを恐れずに、自分の想いを届ける情熱。 そして、それを見守り、信じて任せる勇気。
私たちは、保険という商品を通じてお客様に「安心」を届けています。しかし、その安心の土台があるからこそ、人は「挑戦」できるのだということを、彼らの姿から再確認させてもらいました。
6. おわりに:山形の未来、私たちの決意
惺山高校の生徒さん、今回は素晴らしい刺激をありがとうございました。 君たちが企画した「大江町マラソン大会」がいつか実現し、山形の空の下を多くのランナーが駆け抜ける日を、私たちは心から楽しみにしています。
そして先生。 「好きなようにさせる」という、愛ある信頼の深さを教えていただき、ありがとうございました。その教えは、私たちが後輩を育てる際、そしてお客様と向き合う際の大きなヒントになりました。
私たち「保険ネットワーク山形」は、これからも山形の地で、挑戦するすべての人を応援し続けます。 若者が自ら道を切り拓こうとする時、その背中を支える「安心のプロ」でありたい。 彼らが思い出させてくれた「チャレンジ精神」を胸に、私たちもまた、今日から新しい一歩を踏み出します。
山形の未来は、こんなにも熱い。 私たちも、負けてはいられませんね!