寒河江市市民文化会館にて行われた「若者の公民館事業参画」をテーマにした講演会に参加してきました。
講師は、大学講師や地域コーディネーターとして活躍されている稲村氏。
「若者にとって公民館はどう見えているのか?」「どうすれば活動に関わってもらえるのか?」というテーマに対し、ご自身が学生時代に立ち上げたプロジェクトや、市民活動センターでの10年間の実践をもとに、非常に本質的な知見を共有してくださいました。
お話を伺いながら強く感じたのは、これは単に「公民館」だけの話ではないということです。
「若い世代の参画が進まない」「次世代の担い手が育たない」という悩みは、多くの民間企業における人材マネジメントや、ロータリークラブ・青年会議所・同友会といった各種団体の運営にも、そのまま共通する普遍的なテーマだからです。
今回は、講演から得た学びを、企業組織や地域団体の運営にどう生かしていくかという視点でまとめてみたいと思います。
1. なぜ若者は距離を置くのか?〜「見えない敷居」の正体〜
講演の中で紹介された「若者から見た公民館」のリアルな印象は、既存の組織や団体にとっても耳の痛い指摘でした。
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「すでに出来上がっているコミュニティやシニア層の場で、自分には関係がないと感じる」
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「ルールや手続きが細かく決まっていて、自由度がなさそうに見える」
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「何をやっている場所なのか、目的や意義が外から分かりにくい」
これは、企業の旧態依然とした社内会議や、伝統ある団体の例会・事業に対しても、若手社員や新入会員が無意識に感じている心理的ハードルとまったく同じではないでしょうか。
大人が「誰にでも開かれている」「若手の意見を歓迎している」と思っていても、受け取る側からすれば「敷居が高く、自分が入る余白がない」と映ってしまうのが現実です。
2. 次世代を巻き込むための3つのアプローチ
では、どうすれば若者が自発的に関わり、エネルギーを発揮してくれるのか。講演から得られたポイントは大きく3つあります。
① 1から10までお膳立てせず、「余白」を託す
決まりきったルーティン作業の「動員」として若手を呼ぶのではなく、「目的だけ共有して、進め方や企画は自由にアレンジしていい」と余白を残すこと。自分たちのアイデアが反映される実感(裁量権)があるとき、人は初めて「当事者」になります。
② 「参加」から「実践」へ、ゆるやかな階段を用意する
いきなり重い役職や大きなプロジェクトの責任を負わせるのではなく、「まずは1回気軽に見学・参加してみる」→「小さな役割を担ってみる」→「自ら企画を動かしてみる」というステップアップの導線設計が不可欠です。
③ 上から指示するのではなく、「黒子(伴走者)」に徹する
大人の役目は、指示・指導することではなく、若者が挑戦するための「土俵」を用意することです。経験や人脈、資金、社内調整といった“大人のリソース”を惜しみなく提供しながら、主役の座は若手に譲り、後ろから支える黒子(コーディネーター)になることが求められます。
3. 企業経営やロータリークラブ等の団体運営にどう生かすか?
この視点を、会社やクラブ・団体の現場に置き換えると、次のような具体的な取り組みにつながります。
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若手主導の「プロジェクト型タスクフォース」の導入(企業・団体共通)
定例の報告業務や前年踏襲の事業ではなく、「新サービスのアイデア検討」や「新しい社会貢献事業・周年行事のワンコーナー」などを若手チームに丸ごと任せてみる。役員やベテランは決定権を握りしめるのではなく、予算と承認のサポート役に回ります。
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伝統の事業に「新しいツール・若者の関心」を掛け合わせる
講演でも、既存の地域行事にデジタル(VRやSNS)やボードゲームなどの若者カルチャーを取り入れる実例が紹介されていました。
ロータリークラブ等の奉仕事業においても、「従来の枠組み」にこだわりすぎず、デジタルネイティブ世代の得意分野や関心(SNS発信、AI活用、新しい形の国際交流など)を活かせるテーマを設定することで、参加意欲を引き出すことができます。
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「ガクチカ」や「自己成長」につながる参画価値の提示
今の若い世代は、単なる付き合いや義務感では動きません。「ここに関わることで、社外の多様な人と繋がれる」「他ではできない実践経験が積める」といった、本人のキャリアや成長にとっての意義を明確に提示することが、参画の強い動機づけになります。
おわりに:大人が「余白」を面白がる姿勢から始まる
「最近の若い人は、地域の活動や組織に関心がない」と片付けてしまうのは簡単です。
しかし実際は、関心がないのではなく、「関わりたくなる場や、関われる余白が用意されていない」だけなのかもしれません。
若手が突飛なアイデアを出したとき、大人が「前例がない」「予算がない」と潰してしまうのか、それとも「面白そうだね、どうすれば実現できるか一緒に考えよう」と背中を押せるのか。
企業であれ、地域を支える奉仕団体であれ、組織の新陳代謝と持続可能性の鍵は、大人が主役を譲り、若者の挑戦を面白がって支える度量にあるのだと、改めて深く実感した一日でした。