先日投稿したブログのアクセスが非常によかったので、文章をちょっと付け足してさらにブラシュアップしてみました。
こんな○○は嫌だ、シリーズ、意外と面白いかもしれませんね。
では始めます。
──信頼を損なうNG行動と、その改善策とは?
はじめに:「いやだ」と思われる現実を、真正面から見つめる
保険代理店や募集人は、本来お客様の人生や事業に“安心”という名のセーフティネットを提供する仕事です。 しかし実際には、「この人には任せたくない…」と感じられてしまうケースも存在します。金融庁の行政処分や苦情データからも明らかなように、わずかな行動のズレが「信頼の失墜」につながる時代になっているのです。
今回は、消費者から寄せられるリアルな声や、募集品質調査、業界の苦情傾向などを踏まえて、「こんな募集人・代理店はいやだ!」と感じさせてしまうNG行動を5つに整理。あわせて、今日からできる改善のヒントをお届けします。
1. インセンティブ重視の「売りたい保険」ばかり提案
NG行動の例
- 商品の特性ではなく「手数料率」で提案を決定
- 比較推奨義務を満たさず、1社のプランだけを強引に提示
- 「今月中に契約すれば特典つき」と誘導的なトーク
背景と課題
業界構造上、報酬インセンティブの存在は避けられません。とはいえ、「売上=評価」という単眼的な価値観は、顧客視点との乖離を生みやすくなります。
改善のヒント
- 意向把握フローとヒアリング結果をマッピングし、提案理由を明文化
- 社内で「紹介率」や「継続率」を成果指標とする評価制度を併用
- インセンティブ情報の透明化による信頼醸成(近年は開示を求める顧客も増加)
2. 説明不足で「聞いてない!」トラブルを招く
NG行動の例
- 特約や免責条件の説明を省略または曖昧に
- FP用語や業界専門用語をそのまま使い、理解の確認をしない
- 短時間での契約締結を目的に、説明を急ぐ
現場の声
保険契約に関する苦情のうち、最も多いのが説明不足(意向把握・比較推奨義務違反)。金融ADR機関にも年間数千件が寄せられており、過失が認定された場合、保険会社や代理店の指導・処分対象になります。
改善のヒント
- 「この保険に入るとどんなことが起きるか?」をお客様の言葉で確認
- 説明内容を動画やリーフレットに連動させ、多層的な理解を促進
- 契約直後に簡易な「振り返りシート」活用で不安解消&クレーム予防
3. 強引で“売り込まれる感”のある営業スタイル
NG行動の例
- アポなし訪問や夜間の繰り返し電話
- 「今決めれば…」「今週中じゃないと損」と焦らせるトーク
- 知人・家族・友人への紹介を強要するような姿勢
顧客意識の変化
内閣府の意識調査では、「営業を受けること自体にストレスを感じる」という回答が6割を超えています。とくに20代~40代では、自分で調べたい・選びたいというスタンスが顕著です。
改善のヒント
- SNSやセミナーなど、プル型(相談される)営業への転換を意識
- “今じゃないけど相談できる人”という関係性の構築に軸を置く
- クロージングよりも「選ばれる土台」をつくる営業教育の導入
4. アフターフォローが雑、またはまったく無い
NG行動の例
- 契約後に音信不通、担当変更の連絡もなし
- 更新時期に連絡がこない、または直前すぎる
- 保険金請求時に動かず、窓口を案内するだけ
顧客心理
「売ったら終わり」という態度が伝わってしまうと、“この人はお金のときだけ現れる”という不信感につながります。保険という“無形商材”の不安を打ち消すには、定期的な接点が何よりの信頼材料になります。
改善のヒント
- 契約後3ヵ月、6ヵ月、1年…とフォローメールの自動設定
- 「事故対応は代理店の腕の見せどころ」と社内で明文化し、担当制を強化
- 営業⇄保全チーム間での情報共有ルールの整備
5. 知識不足・制度理解不足で信用を落とす
NG行動の例
- 質問に対して「それはちょっと…」と濁す
- 税制や医療制度、相続分野での発言ミス
- 制度改正に追いつかず、古い情報のまま説明
顧客の期待値
相談者の多くは、“保険の専門家”として質問してきます。その期待に応えられない場合、「この人から保険を買うのは不安」と判断されやすくなります。
改善のヒント
- 毎月の社内研修+外部資格取得支援(FP・DCプランナー・相続士など)
- 社員別の「得意領域・強化領域マップ」でチーム対応力を底上げ
- 保険会社提供のナレッジベースを活用し、知識の即時アップデート
おわりに:「いやだ!」の先に、信頼がある
お客様の「いやだ」は、実は“もっとこうしてほしい”という期待の裏返しでもあります。 募集品質の向上は、契約数よりも先に“信頼”をつくる取り組みであり、それはやがてご紹介や継続率、保険会社からの評価にもつながるのです。
まずは一歩、自分たちの振る舞いや仕組みを見直してみませんか? 「いやだ」と言われない代理店、「ありがとう」が自然に返ってくる募集人へ。 そんな存在に一歩ずつ、進化していきましょう。